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岡倉天心「茶の本 (新訳版)」

time 2018/05/17

岡倉天心「茶の本 (新訳版)」

最近はとある本にどっぷり浸かっていました。

日本の思想家である岡倉天心が著「茶の本」である。

この「茶の本」と言う書籍は、岡倉天心が海外に向けて「茶の湯」を紹介するために書いた本「THE BOOK OF TEA」を日本語に訳したのもの。

そしてこの「茶の本 (新訳版)」は、岡倉天心は簡潔かつ複雑なニュアンスを暗示する言葉選びをする人で、一読しただけでは理解出来ない文章が多く、そういった部分に配慮を効かせたものである。翻訳を担当したのは大久保 喬樹さん。またいくつかある「茶の本」の翻訳版で人気があるのもこの本の特徴です。

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目次

第1章 茶碗にあふれる人間性
第2章 茶の流派
第3章 道教と禅
第4章 茶室
第5章 芸術鑑賞
第6章 花
第7章 茶人たち

via: 新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫) – Amazon.com

はじめに

本のタイトルが「茶の本」ということで、読み始める前は茶の湯の哲学を学べるのかと想像していましたが、読んでみると「茶」のみならず、もっと広い視点、西洋と東洋の関係、外の世界から見た日本、日本文化の底辺に流れる思想など多岐にわたる内容でした。

内容の云々

老荘思想

この本で度々出てくる「老荘思想」。

はじめて聞く言葉(学生時代に習ったかもしれないけど忘れた)なので解説記事から説明を抜粋。

春秋~戦国時代の諸子百家の中の、老子や荘子の道家の思想をあわせて老荘思想といい、儒家の礼や徳の重視を人為的な道徳として否定し、無為自然を説いた。漢の武帝が儒学を官学とすると、儒学は経書の解釈に事とする訓詁学が流行したが、後漢末から三国時代の混乱期になると、その反動から反儒学的な老荘思想が人々の心をとらえた。その代表的が竹林の七賢といわれる人々で、彼らは世俗を離れて自由な境地をめざし、清談に明け暮れた。このような老荘思想の流行は、魏晋南北朝時代を通じて続き、貴族文化の一つの特徴であった。老荘思想は貴族社会だけではなく、民衆にも浸透し、神仙思想などと融合して道教を生み出した。

via: 老荘思想 – 世界史の窓

ん?ちょっと分かりづらい・・・。もう少し分かりやすい記事を抜粋。

老子の思想は
水のようにさらさらと高いところから低いところへと流れ
どんな器にも添う
柔軟で柔らかい生き方が最善であると説いています。

それは純粋無垢な赤子の生き方でもあるのです。

水や赤子のような
柔軟で弱い生き方が
本当は最も強い生き方であり
無為自然な姿だと
老子は説いています。

via: 老荘思想 – 道家道学院

老荘思想とは「物事の善し悪しは考え方次第、あるがままで良い」という自由奔放な思想。

よく比較される孔子の儒教の「人はこう生きる、物事はこうでじゃないと」という固められた道徳体系とは正反対。

「成るように成るさ」的な考え、考え方は人それぞれだよね、という優しい?考え。

この世の一切は相対的な存在であって、絶対的に固定されてるものなどない
:
(略)
:
現在、目の前の現実をかけがえのないものとして従前に受け入れ、味わえという教え

via: 新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫) – Amazon.com

その思想は茶の湯でも拝見することができます。

茶の湯は禅の礼法を元に発展し、その禅は道教から、そして道教は老荘思想から、という流れを組んでいます。

例えば、禅庭は見手に見え方を委ねるデザインで設計されているように、茶室に設けられる「花」もそういった性質を持っています。

茶人は、花を選びさえすれば責任を果たしたとして、あとは、花が花自身の物語を語るのにまかせる

via: 新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫) – Amazon.com

茶の湯は様々な思想の塊


見辛いですが鉤括弧のところ

茶の哲学は、世間一般でふつう思われているような単なる唯美主義ではない ー ひたすら美だけを追求する流派にとどまるものではない
:
:

via: 新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫) – Amazon.com

茶の湯は見方を変えれば様々な面が顔を出す。倫理や宗教との結びつき、衛生学、経済学、幾何学、東洋的民主主義思想など。

見方次第で姿を変える茶の湯の多面的な性質は、茶の湯が老荘思想と深く関わっているからなのか。

岡倉天心の愛国心

この本を読み進めていくと、岡倉天心は美術芸術を愛した愛国心ある国際人だという印象を強く受ける。

同時期に刊行されていた新渡戸稲造が著「武士道」(海外の日本人観に影響を与えた本)を、岡倉天心は「兵士に喜び勇んで身を捨てさせる死の術」とし、それに対し「茶の湯」を「生の術」であると、この「茶の本」で表現しています。

日本にはもっと良い文化があるのだという間違った既成事実(「武士道」の内容が間違っているとは私は思っていない。読んでないし)の疑念を晴らす姿勢に、岡倉天心の愛国心の強さが伺えます。

おわり

茶の湯の「美しさ」は、いってみれば哲学。私が茶の湯にハマるのもこの辺りが関係している一つです。

本書は「茶の本」というタイトルですが、茶の湯の話のみならず、日本文化の底辺に流れる思想、美術芸術、西洋との価値観や思想の違いなどなど。茶の湯を基準に多くのことを学べる本書。暮らしの哲学書として如何でしょうか。

興味のある方は是非手に取ってみてください。

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maechan

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ベンチャー企業、フリーランス、スタートアップを経験。開発業務、人事業務に従事していました。現在は農業系スタートアップ企業でエンジニアとして働いています。リモートワークをしているノマドサラリーマンです。詳しいプロフィールはこちら。 [詳細]

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